アクセス解析ツール「リサーチアルチザンプロ」の生い立ち
このブログでは、開発者・運営者目線でアクセス解析ツール「リサーチアルチザンプロ」機能紹介なども書いていきたいと思います。その前に、まずはリサーチアルチザンプロの生い立ちから。
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2024-07-16 13:00 +0000
このブログでは、開発者・運営者目線でアクセス解析ツール「リサーチアルチザンプロ」の機能紹介なども書いていきたいと思います。
その前に、まずはリサーチアルチザンプロの生い立ちから。
リサーチアルチザンプロですが、その歴史は古く、遡れば2005年に運用開始した「無料アクセス解析ツール - リサーチアルチザン」がその前身となります。
開発のきっかけ
2000年代前半からのブログブーム、私もその流れにのって、2003年頃に個人ブログを開設しました。
当時はアクセス解析ツールの数は少なく、無料サービスでは「忍者アクセス解析」が最も使われていたアクセス解析ツールではないでしょうか。私のそのユーザーの一人でした。
これは便利だと毎日のようにアクセス数をチェックし、ブログを書いてはその数値に一喜一憂していましたね。
で、その忍者アクセス解析ですが、使っているうちに「もう少しこういうデータが見れないか?」とか「こういう風にデータが見れれば見やすいんじゃないか?」とか、自分の中で満足度が低くなっていくのを感じていました。
そこで一念発起し、「とりあえず自分で作るか!」と開発しだしたのが2004年頃でした。
約1年かけて開発
開発は、なんやかんやで約1年間行いました。
「オープンソースで公開するか」、「Webサービスとして公開するか」、を迷いつつ、とりあえず作っていって後で考えようということで、開発に着手しました。
当時はクラウドという言葉もなく、Webサービスのサーバーといえば、レンタルサーバーか自分でサーバーを立てるかの二択しかありませんでしたが、所属していた会社が自社サーバーを用意してくれましたので、「Webサービスとして公開する!」という方向で進めました。
「サービス開発することで技術力も高められる!」と若かりし私は、今思えば無駄とも思えることも色々試行錯誤して開発しました。
平日休日問わず、時間がある限り手を動かしていましたね。いやー若かった(笑)。
サービス公開前に現れた巨人
2005年春くらい?ですかね。Urchinという海外の高性能なアクセス解析ツールをGoogleが買収したというニュースがありました。
アクセス解析ツールを開発中の私は、何か少し不安な気持ちになったのを覚えています。
まあでも関係ないかと思いつつ、開発を継続し、いよいよもう直ぐ公開できるなというところで、2005年秋に衝撃のニュースが駆け巡りました。
“Googleが買収したUrchinベースの無料アクセス解析を公開”
Googleアナリティクスの登場です。
リサーチアルチザン公開の僅か1ヶ月前だったと思います。
Urchinは月額(年額?)20万とかするアクセス解析であったような気がしますが、それをGoogleがしかも無料で公開。
こちらは今まで1年間頑張って開発してきましたが、こんなアクセス解析ツール出されたら誰も太刀打ちできない、私なんかが作ったツールなんか使われる訳がない、そう思いつつ公開寸前で準備もできていたので、公開に向けて走り続けました。そうするしかなかった。
サービス公開と反響
ということで、2005年の10月頃に「無料アクセス解析ツール - リサーチアルチザン」を公開しました。
“高機能で使いやすくて無料"がコンセプトです。また、“無料なのに広告バナーが表示されない"ことも売りでした。
「とにかくマネタイズは後で考える」ということで、注目を浴びるため全て無料で公開することにしました。
サービスの告知は個人ブログでのみ行いました。
当時はTwitterといったSNSもなく、ブログ全盛時代で、所謂マーケティングもブログだけで何とかなりました。(いい時代でしたね。)
類似のサービスも少なく、先行者利益で公開後直ぐにユーザー登録されていきました。
利用ユーザーがブログで紹介、それが口コミとなり、まあまあいい感じでユーザー数は増えていきました。
反響もよく、時間を掛けて開発したことが報われた日々でした。
運営中の苦難
ユーザーは順調に増えていきましたが、それにつれてサービス運営が不安定になっていきました。
そもそもアクセス解析のシステムは、大量のアクセスログをデータベースに読み書きしますので、サーバー負荷がつきものです。
自社サーバーも高負荷に耐えれるようなものではなく、当時の自分の技術力不足もあり、アクセス過多になる一定の時間帯になるとサービスにアクセスできないといった、アクセス解析ツールとしても致命的な状況となっていきました。
また後で考えるといったマネタイズも考えれず、というかこの品質ではお金を頂くことはできないという状況でした。
自社サーバーのコストも日々増え続け、対策としてGoogle AdSense広告を解析画面内に設置し、少しの広告収入を得ていましたが、
これ自体がAdSenseの規約違反にかかり、広告設置もできない状況となりました。
- サーバー問題で安定したサービスを提供できない(有料にできるほどの品質にない)
- 広告収益が0になった(サーバーのコストが自社の負担になっていった)
ユーザーは増え続け、評価もそこそこあったサービスでしたが、公開後4年経過した時点でサービス終了に向けて進むしかないような状況に追い込まれていきました。
リサーチアルチザンライトの公開
サービスを終了することは致し方ないかと思うようになっていましたが、
「果たしてこれで良いのか?」
「1年掛けた開発、4年続けたサービス運営を、“いい経験だった"で済ませて良いのか?」
この思いが湧くようになりました。
サーバー運用とコストがネックなら、そこはユーザーに任せる形、
つまり「ダウンロード版のアクセス解析ツールとして存続できないか?」と考え、
オープンソース版のリサーチアルチザンである、「リサーチアルチザンライト」を2009年に公開しました。
機能はリサーチアルチザンとほとんど同じにしました。
オープンソース、つまり全ソースが公開されますので、システムの半分くらいは作り直したような気がします。
こちらも結構な反響があり、リサーチアルチザンのサービス終了後も、リサーチアルチザンのアクセス解析ツールの名前が消えることなく生き続けることができました。
2022年に公開を終了しましたが、多くのユーザーにダウンロードされ、派生のアクセス解析ツールが複数生まれたことも確認しました。
このオープンソースでの公開は意味のあったものだと思っています。
リサーチアルチザンの終了
2010年5月、約4年半運営したリサーチアルチザンはサービス終了することになりました。
累計約7万数千のサイトアカウントが登録されたサービスでした。
中には「え?このサイトまで登録してくれた!」と有名サイトの登録に喜ぶことも多々ありました。
ただ無料でのサービス提供の限界を知り、上に挙げた当時としては解決し難い問題に、もうサービス終了しか道はありませんでした。
…しかし、実はサービス終了の時点で既に有料版の開発は進めていました。
AWSの登場や有料課金の仕組み(PayPalのAPI)が整ったことにより、サービス終了をリセットと位置付けて、改めてシステムを一から再構築し、有料版のみでサービスを公開することで動いていました。
またサービス終了時のユーザー様の声。
無料で提供していたましたが、突然のサービス終了に批判のメールが来るかと思いきや、そのようなメールは一切なく、これまでの感謝の声、ぜひ有料版を!といった声。
それらの声に励まされ、有料サービスの開発に拍車がかかりました。ヤル気充分。これはイケるのでは、という手応えも見えてきました。
リサーチアルチザンプロの公開
リサーチアルチザンのサービス終了から半年が経過した2010年9月、有料版のアクセス解析ツールとして「リサーチアルチザンプロ」を公開しました。
「ライト」がオープンソースで無料、「プロ」が有料サービスという位置付けです。
画面デザインも一新し、機能も随分アップデートしました。
公開後、有料の金額に様々なご意見も頂きましたが、まずはリサーチアルチザン時代からのユーザー様から数多くご登録頂きました。
4年半無料サービス運営の実績はありましたが、有料サービスとなると話は違うはずです。
本当にお金を払って頂けるのか・・。
期待と不安の中の公開でしたが、初めてPayPalから課金のお知らせがあった時の感動は忘れません。
「自分の作ったサービスにお金を払う価値があると認められた」
もう本当に「ありがとうございます!」という気持ちで一杯でした。この気持ちは今も続いています。
2010年公開から実績のあるアクセス解析ツール
リサーチアルチザンプロ公開後のお話はまた別の機会にしますが、このような経緯を経て、2010年に公開したリサーチアルチザンプロは、現在も運営中です。
時代や取り巻く環境の変化で、アクセス解析ツールとして難しい状況もあったりしますが、有料版アクセス解析ツールとして地道に運営しています。
“GA4"や"Microsoft Clarity"といった巨人による無料サービスを筆頭に、現在も様々なアクセス解析ツールが存在していますが、リサーチアルチザンプロも負けじとアップデートを続けています。
リサーチアルチザンプロを使い続けるユーザー様がいる限り、今後もサービス運営に邁進していく所存です。
今後ともリサーチアルチザンプロをよろしくお願いいたします。